アメフラシ
大覚アキラ

虹色のアメフラシが
ベランダのクワズイモの葉の上を
ぬたり
ぬたり
と這っている

(そんなはずはない)

風が吹くたびに
アメフラシの体表の突起が
グラスファイバーのように色を変え
ぼくはそれに
触れてみたくてしかたがない

(そんなことはあるはずがない)

指をそっと伸ばして
蛍光色に輝く
その突起に触れるか触れないか
その瞬間に
アメフラシは掻き消えた


自由詩 アメフラシ Copyright 大覚アキラ 2005-11-24 15:50:12
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