優しい機械
たもつ
家屋は言葉のように
優しく朽ち果てていた
時間があればそこかしこで
両親は笑顔を絶やさなかった
幸せな玄関ホール
その壁には今でも
兄と私の指紋が残されていて
静かに機械の匂いがする
足りないものなど何も無かった
という少しの嘘とともに
私たちはきっと
愛されていたのだと思う
自由詩
優しい機械
Copyright
たもつ
2005-11-14 19:56:49
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