【短歌祭参加作品】おそらのほしになる
汐見ハル
ひとは死んで星になるなら死んだひとにわたし死んでも触れ合えないね
あたたかい窓に涙をはりつけて幾つもの千途絶えてく音
一度融け凍ったアイスの響きですガリレオ・ガリレイ歯にしみていく
土星の輪たたきけちらし跳ねるたびとじこめられた音楽が泣く
素粒子があるって知ってはいることと感じることはベツモノなんよ
リモコンで操られたいTVは主電源の在り処を隠す
スプリング・イン・ウィンター投げキッスひかりの速度で駆け抜けた恋
酒を泳ぐゆめにほどけた冬の未明、ゆるむ蛇口が砂時計のよう
椅子を抱き身体ねじって目をとじてニスの剥げ目にくちびる寄せる
ぼくたちはねむる花びらあおのなか焦げそこなったロケットのなか
わたしいつか星になります団欒に霞むあえかな六等星に
流星を涙に喩えるひとなんて陳腐をにくめるはずはなかった