きんいろのうた(光と音)
木立 悟





空が傾き
音は木にふりかかり
ずっとずっと遠くまで
誰もいないことを告げてゆく


せばまる風が
音の火となり
無言の道を
甘いにおいに近づける


弱くいとしい景たちを
音は失うことを恐れて踊る
雨を含んだ枕木が
鉄の通過にはね上がり
光は去ったふりをする
曇は微笑むふりをする


音は光に背いて射られ
灰と緑の流れに沈む
沈むままに空を見る目
無言のあるじの空を見る目


水底の手のひらを
傷の音たちが歩みゆく
水面に脈打つ景から
散りつづけるきんいろ
傷跡に浅く降りつもる


歩む軌跡と姿のすべてが
歩むものそのままのことわり
重なりあふれ 在りつづけ
変わり異なり とどろきながら
遠いもの とどかぬものへうたいゆく
きんいろにきんいろにうたいゆく









自由詩 きんいろのうた(光と音) Copyright 木立 悟 2005-11-08 17:24:20
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