手荷物
たもつ


手荷物、は戦いだった
毎夜欠かすことなく
網棚はやって来て
月はまるごと列車でよかった
主翼があれば飛行機でよかった
ぼくは懐疑的な目
愛についてを語る

農家の野菜売りのおばさんが
パンツスーツ姿で
黒い外車を乗り回している
のを見たことがある
皆どこか一箇所くらい
寂しいのだと思った
広げた地図帳に
ぼくの住む街の名があってよかった

戦いだった
手を突っ込めば
暖かいものと冷たいものが混じりあう
要所のようなところ
またひとつパッケージ
身体から離れていく、で、
よかった




自由詩 手荷物 Copyright たもつ 2005-11-07 09:20:58
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