孤独のいる場所
むらさき

恋をして11ヶ月目の男と寝ていた

わたしの首筋にある小さなほくろを
男がそっと撫でた 幸福感に鳥肌がたったが
孤独は相変わらず
わたしのへそに隠れていた

コンプレックスになるほど愛している
父と話をした

仕事について 知り合いについて
思い出話 週末の予定
孤独は
わたしの髪の根もとにいた

あまり共通点がなさそうな職場の人と一緒に帰った

日本語の難しさを右脳の奥で感じながら
夕日の色の名前を知らないことに気づく
孤独は
わたしの爪の間に

電気の音しかしない街を歩いた

通り過ぎる人々の顔は2通りしかなくて
律儀にわたしもその一つに成りすます
孤独は 
やはり足の裏にいた

心許せる昔からの友人と居酒屋で会った

笑いながらほっけをつまんだ瞬間に
吐き気をもよおすぐらいの孤独は
わたしの足首に巻きついた

一人で風呂に入った

湯にからだが溶けていく

こびりついた孤独も
ジェリー状に固まり

水面に浮かんでいく
無知なくらげのように

今日の砂と共に

   









自由詩 孤独のいる場所 Copyright むらさき 2005-11-07 00:29:40
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