林檎もぎ
砂木

肩から下げて使う袋
てのひらで つつみこみ
くきに 指を一本そえて
ぽきっと ひねる

赤味のついた林檎を
肩から下げた 
こだし*1に 入れる

小学生の時 父に教えられて以来
繰り返されてきた
秋の仕事

はしごに登って
届かない林檎に 手をのばす

バランスをとり
一度に どの範囲の
どれくらいの量の林檎が こだしに入るか

判断しながら
決して 地上から垂直でいるのを
忘れないように

一段 一段と 枝の間をくぐり
一個づつ 糧を もぎとる

晴天のもと 風と 共に
雨天の日 雨合羽を着て

近づいてくる 雪の気配
山頂の上 目を 凝らし

軽くなって ゆっくり した枝が
かたわらで ふうっと 吹かれる





*1 肩から下げて使う袋



自由詩 林檎もぎ Copyright 砂木 2005-11-05 19:48:27
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