雀の子
士狼(銀)

窓には柵が無いので 宵月の真ん中
を見ようとすると バランスが取れなくて
危うい

落ちるまで手を伸ばそうが 届かないから安心
幾夜に渡って一途に見つめても
月は降りてくれないから 代わりに浅い夢を摑む

最近の夕闇を歩いて 空より雲のほう
が暗いのだと 気付き始めて一番星は
明るい

電線に引っ掛かってみても 絡まないから不安
雀のように優しくは無い爪先で
星の代わりに深い夜を
食べて  



自由詩 雀の子 Copyright 士狼(銀) 2005-11-04 15:41:43
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