クラーレ!
黒川排除 (oldsoup)

うわずった声まなびやの真実を話す

苦い骨に顔しかめるべき名を聞くばかり

古墳からひとを見くだすのがお好き

ボールペン立つ夜の柱として次々と

翁の衣をかぶった土砂崩れが町へ

モンゴル空撮そのままそらにかえらねば

ホテル街では誰もが銅像になりうる

通夜のあと場違いなるムー大陸浮上

未明のバザール 異邦人は われひとり

処女念力をふるいつご機嫌いかがと問う

道端で水を想像して泳ぐ

ふと覗いた小屋に大量の磁石

高所の窓に装う光が燃え上がる

食むを嫌う瓦礫の下木の実の散乱

しくしくいたむように降るべき雨も画鋲も

投身 海にもらった錆を返すため

鬱蒼と老人ホームの中の老人

龍を呼び余った力で飯を炊く

秋をくべる 昨日は書物

はぐらかす今日一日うすぐらい白夜

顔半分を
 手でかくし
 くられる
 日暮れかな

わが師はずかし
がりつわがゆび
噛んでふるえる

からむ脱脂綿振り払う月下の茶畑で

軒下の呪詛 皇帝見事に刺し違えたり

墓を蹴って運ぶかつての友よ海は好きか

みずうみをみずでみたすしまめをみひらくため

火を囲むたったひとりの影なお動く

海を挟んでケニアに巨大草殖える

人里をはなれしこころに橋を吊る

トンボ群れて一枚の刃になる

トイレに窓を設けて見るかなしき皇居

ビルを待つその交点をAとして

べっこう飴をたたいて渡る子らのせいで

夜行なにがし夜をすいすいすすむから


川柳 クラーレ! Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2005-11-01 01:41:12
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