限られた時
水無月 綾

触ってごらんよと
差し出された指に瞳は釘付け
少しでも長く
貴方の指に触れていられるよう
ゆっくりゆっくり
手なんて繋ぐ関係には
100年経ってもなり得ないから
ここぞとばかりに

見ているんだよと
目の前で音を紡ぐ貴方に心は釘付け
独りになった時
貴方の全てを思い出せるよう
じっくりじっくり
覚えるべきフレーズは
後でしっかり練習するから
今だけは

息を潜め
貴方をそっと見つめよう
きっと貴方は気が付いて
なに?という視線を向ける
ごめん
いつか本当の友達になるから
その日まで
女としての視線
気が付かないフリをしていて


自由詩 限られた時 Copyright 水無月 綾 2005-10-31 05:45:27
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