3)詩の朗読・初心者の覚え書きメモ/その3・・・さいとういんこさんに学ぶ(2)
宮前のん

 「どうして関西人なのに関西弁で朗読しないの? どうして女の子なのに男の子の言葉の詩なの?」

 2002年6月15日、東京某所で行われた「いんこ虎の穴」というイベント。
 これに私は観客としてではなく、朗読者として参加しました。詳細は「蘭の会」オフラインリポート
でお読み下さい。
http://www.os.rim.or.jp/~orchid/

 始まってすぐ、さいとういんこさんからスルドイ突っ込みが。「どうして関西弁で読まないの?」
 指摘されるまで気が付かなかったんです。実は関西の人ってリーディングする時、ほとんどの人が
標準語で読むんですよ。普段の会話は、もちろん関西弁なんです。「あんた」とか「ええなあ」とか。
でも学校で教科書を読む時に教わったのは標準語なんですね。私も知らず知らずに、書いてある字は
標準語で読むクセが付いてたんです。でもそれが当たり前だと思い込んでいました。しゃべるのは
関西弁、読み書きは標準語。関西人は、実はバイリンガルだったんです(笑)。
 これはカルチャーショックでした。「普段、使ってる言葉の方が、イメージ込め易いんじゃないの?」
そう言われて、関西弁に直して読みなおしてみたんです。それと、女性言葉に。

 女性が男性の言葉で詩を書く。あるいは男性が女性言葉で詩を書く。それもありだと思います。
でも、こと朗読となると、演出という部分が必要になってくるんです。その詩の字面だけじゃなく、
声色、立ち姿、雰囲気といったものまでが、その詩の添え物あるいは演出物として扱われます。
普段は関西弁をしゃべっているのに標準語で読んだがために、どうもウソくさく聞こえたり、
あるいは「俺」という単語を女性の高い声で読んだりすると、雰囲気が壊れることもあります。
もちろん、ハスキーな声質の人なら男性言葉が似合ったりもするので一概には言えませんし、
要するに、その人の声質や方言、声の大きさなどにあったテキストを選ぶことが大切なのです。
いんこさんはおそらく、私の声質や雰囲気では、男性言葉の詩が似合わないということをおっしゃった
のだと思いました。そして実際、女性言葉に書き直した詩を関西弁で読んだ時、皆さんにすごい拍手を
いただいたのでした。

●覚え書きメモ/その3:自分の声質や雰囲気、声の大きさなどにあったテキストを選ぶこと。



散文(批評随筆小説等) 3)詩の朗読・初心者の覚え書きメモ/その3・・・さいとういんこさんに学ぶ(2) Copyright 宮前のん 2005-10-30 22:44:30
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