ケムリ
天使

「そういえば・・・」

あの頃の思い出は すべて煙のように消えていった

いまから思い出そうとしても 何も思い出せなくて

頭を地面につけてみても 何も出てこなくて


確かにあの頃は すべてを忘れたいと思った

だけど今は思うんだ

あの頃の僕があったから 今こうして強くなっている


だからちょっとつらい時 あの頃を思い出したかった

だけど 思い出は煙へと変わって

風に吹かれて 跡形もなく消えていった


二人歩いて笑いあった日も 泣きあった日も 抱きしめあった日も・・・・

何も残っていないこの心は

冷えて冷たくなっていく・・・・


僕らが生きていて 一番苦しいことは 一番悲しいことは

自分が生きてきた思い出が どこにもないということ


自分がここにいたという記憶・・・・

それさえ忘れてしまった僕は

君の記憶からも煙へと変わっていく・・・


何度も思い出そうと頑張っていても 結局何も思い出せない

僕には何もない

僕には何も残されていない

僕は誰なんだろう



僕のすべてが 煙へと変わっていく・・・・


煙は空高く上がり やがて雲へと夢描き

君のとこを通り過ぎ

僕はひたすら上へ昇る


そして僕は 空高く上がり

君をずっと ずっと 見守るのでした


僕は煙になっても 君のことだけは 想い続けるのでした 


たとえ思い出を忘れたとしても 君のことだけを想い続けるのでした




自由詩 ケムリ Copyright 天使 2005-10-30 19:28:54
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