発芽
黒川排除 (oldsoup)

夜の煙の馴染む頃
眠り馴染まぬ枕あり
鈴の響きに誘われて
惑い出る手の白さにも
はえない草は首を振り
急く足を取る泥ひとつ
ふたつ数えて道草を
ひとつ戻って通い草
草を結んで目印の
あては外れて靴の音
あての無いまま連れゆけば
更に深まる暗闇の
色によく似た息をする
鳥を捕まえ話そうか
それともサイのつのを抱き
苦しい布団をかぶろうか
ともあれ眠りが誘った
遠く異郷の動物園
水の底から底渡る
太い足した象の背を
ひしゃくで打った水しぶき
夏のひと葉の宵時雨
夢から醒めて振り向けば
辿る家路は雨の中
瞼を閉じて雨の音
耳を塞いで雨の味
口を結んでものいわぬ
親を忘れたみなし児は
みどりの筒に包まれて
子は子の待つを親嘆き
そら知らずして明けていく


自由詩 発芽 Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2005-10-30 04:42:23
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