幻子核の街
相馬四弦

陽気の過ぎる歩行者天国を

とぼとぼと歩いていて

すきまがない 幸せに苦しむ人々の声は

着ぐるみのセイウチが差し出した風船に

引き伸ばされた十年後を見る

ガードレールに腰をおろして

無尽蔵に膨張してゆく今を眺めるとき

確かに僕が 僕こそが

この世界の中心だった

迷子になって泣きじゃくる

あの小さな子供と目が合うまでは


自由詩 幻子核の街 Copyright 相馬四弦 2005-10-29 18:14:57
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