かけらのうた
木立 悟




空がはばたき
他の空を壊す
壊す 壊す
他の空を壊す


勝手に名づけた色を着て
詩人たちは終わってゆく
終わる 終わる
詩人たちは終わる


かけらはつねに降っている
空は減っては増えてゆく
高みへ高みへ打ち消しあい
雲は軌跡を示しつづける


かけらはつねに降っている
詩人は気づかず去ってゆく
気づいたものはからだをひらき
とらえきれずにからだをひらき


ふるえる光の肌の上を
言葉は消えてもまわっている
まわる まわる
消えてもまわる


手のひらからこぼれつづける
わずかなものが昇りはじめる
昇る 昇る
昇りはじめる


空のかけら 地のかけら
水に髪に宙に重なり
曇を野に変え通り過ぎ
遠い遠い海を照らす








自由詩 かけらのうた Copyright 木立 悟 2005-10-28 13:32:48
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