婦人世界
k o u j i * i k e n a g a

おなかのお肉をつまんで微笑むような
どこにも着地できない優しさについて
夜中に姉と考えてみる
そういう気持ちに名前をつけようとした事がある

猫は暗がりを震えながら歩くはずだし
せめて口から泡を吐かないように祈ろう

たとえば忍者が町娘に恋をした瞬間
たとえば布団に潜りこんでくる仔豚

忍者はいつもは血みどろだし
仔豚は食用かもしれない

そういうものを笑いあう
残酷は生まれつきだから
なればこそ変な歩き方でいこうと思う

もちろん後悔していないし
恥じてもいない
それは避けようがないから

けれども震えをとめる薬はない
それだけは怖い
どうしようもなく怖い
震えながら街を歩く男子と女子
すり寄せるように細い肩を並べて

カキフライカレー
口の中でつぶやいてみる
そういう気持ちに名前をつけようとした事がある

だけどこのひどい社会にも
ジャズが好きな女の子はいるし
壁からキノコも生えてくるから

もうちょっとだけ街を歩く
隣の女子の細い肩は
少しだけロマンスで少しだけ性的
髪の匂いもわかりすぎて

おなかのお肉をつまんで微笑むような
どこにも着地できない優しさに
素敵な名前をつけられるように


自由詩 婦人世界 Copyright k o u j i * i k e n a g a 2005-10-28 00:42:21
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