靴擦れ
松本 卓也

足を上げて歩けないのは
日頃の疲れからなのか
明日が見えない今日を
繰り返すしかないからか

履き潰した靴の数だけ
削れて行く生き様があって
磨耗した靴底に気が付けば
見えない針が刺さっている

気付かぬうちに硬く変貌した
角質を戯れに剥がしながら
昨日より増えた溜息の数
明日は何度零すのだろう

買い換えた靴に馴染まずに
剥がれた踵の痛みを堪える
この苦痛に慣れる頃には
僕は何を捨てているのだろう


自由詩 靴擦れ Copyright 松本 卓也 2005-10-26 00:07:27
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こころの、こえ。