K.a.t.z
完食

いまだ、私はメンチカツ
所詮、空は飛べない

ただ、もう一度雲に乗ってみたかった
あの頃を思い出し、今でも涙する


カニクリームコロッケであった私は
メンチカツよりも、遥かに優良だった
空も飛べたし、雲にも乗れた

それがきっと私の最高記憶。


けれど、私はメンチカツ
もう、空に戻れない

ただ、もう一度中にカニを詰めてもらいたかった
メンチなどありきたりなものなど、
体はもう充分拒否反応を起こしている


トンカツだった日もあった
そのときは私にかなうものはないとさえ思った
ただ、カニクリームコロッケ、それが最強だと知らずに

それがきっと私の最高記憶。


なのに、私はメンチカツ
ああ、空を愛しく思うばかり

翼を奪われた私は、最早カニクリームのように
空は、飛べない


自由詩 K.a.t.z Copyright 完食 2005-10-25 23:08:46
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