鳥葬
岡部淳太郎

都市では
すべての生きて動くものはその死の時に
鳥によってついばまれる
そのようにして葬られる
人も 例外ではない
夕陽が昇るように沈み
そのかたわらでくるった金星が
美しくほくそ笑む時
鳥は自らの歌のふところを求めて鳴く
すべての生きて動いていたものは
静かに横たわって刑罰を待つ
人も 例外ではない
歌を忘れたことの当然の報いとして
火を盗んだ者のように
肉をついばまれる
そして人は今際の時に
遠ざかる岩石の行列の中で鳥の声とともに
地下水の囁く声を夢に聴く
歌を忘れているので
その喉は叫ぶことを知らない
都市のあらゆる建造物も
歌に共鳴することはない
ただ鳥だけが
歌のように鳴き
呪詛のように歌う
すべての生きて動くものは
そのようにして葬られる
人も 例外ではない
死の肉はあらゆる岩石を超えて
隕石の隊列に加わり
夕陽は昇るように沈み
決して沈みきることはなく
あらゆる生も同じく
完全に沈むことはない
人も 例外ではない
そして都市は
やがて朽ち果て
すべての生きて動いていたものと同じく
そのやや硬い肉を
鳥によってついばまれ
歌うことなく
歌に共鳴することなく葬られる
ただ鳥だけが
たったひとりの運び手として
すべての死の上で悠然と舞う
そのようにして
すべての生きて動くものも
すべての生きながら動かないものも
ひとつの例外もなく
鳥によって運ばれ
空に還る


自由詩 鳥葬 Copyright 岡部淳太郎 2005-10-23 01:15:50
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