あの日を忘れない

今より少し争いが多くて
自分から吹飛ぶ人とか
きれいな焼け野原とかが
少しだけ増えていた
そんな時代の話





ある日突然
とてつもなく大きな虹が
世界中の架け橋となり
人々を魅了した

皆が空を見上げ
一時
争いや憎しみを忘れた

虹はしばらくたっても消えなかった


この心を忘れぬため
平和を祈る祝日を作ろう
誰かが言って 受け入れられた

いつもは何にでも反対する政治家も
美しさに見惚れて
何も言わなかった






三日が過ぎ、一週間が過ぎ、一ヶ月が過ぎ、
とてつもなく大きな虹は
いつまでたっても消えなかった

人々は不思議がり
学者はこぞって研究を始めたけれど
誰にも理解することは出来なかった


皆の興味は薄れ
時たま空を見上げることがあっても
それはただ
七色の放物線でしかなかった

日付だけが 皆の記憶に残った


ただ虹はそこにあり続け
人々を見下ろし
空に元から在ったかのように
溶け込んでいった







そして
一年後の同じ日 
人々は、






自由詩 あの日を忘れない Copyright  2005-10-22 01:18:53
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