渦の底に積もりゆくレゾンデートル
紫音

集まり群れて
昇華されゆく時の中
足早に過ぎる回想の化石たち

ホームに駆けてゆく想いの数と
すれ違う人波の潮

微かに漂う意識の焦げ臭い、
螺旋状に流れる白い煙

更新されてゆく時代の片隅に
目に見えぬ微細なワダカマリが
今日の終わりに凝固する

やりきれない思い
行き場のない憤り
掠れゆく情熱と夢

その全てが
日の終わりに
陽とともに沈み
堆積して遺物となる

聞こえてくるサイレン
遠ざかる喧騒

鬱蒼と林立するグレーの圧迫
黒に染まるアスファルトの脅迫

白線を踏み越えたその先に
沈澱してゆく人の情念

全てを呑み込みながら
都市の見つめる
寸ほどのレゾンデートル


自由詩 渦の底に積もりゆくレゾンデートル Copyright 紫音 2005-10-22 01:11:02
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