ないしょ話
LEO

たぶん少し疲れたのだ、という理由で床に転がる。
ごつごつとした床が柔らかい耳を飲み込んでいく。
徐々に徐々にそれに慣れる頃‥。
時間はとうに何日か、を刻んでいた。



空調機の「ブーン」と唸る音を拾うのが上手くなった。
もう少しで音楽に変えられそうなところで失敗するのは、

‥微かに聞こえる低音が

硬くなる耳元に
人の声あるいは床を這う水音だったろうか。



揺り篭と呼ぶには物足りない振動をいつしか眠りに変えていた。
片方の耳を上に向けてあなたの声を逃さずに、

‥おやすみなさいがいつも言えない

目覚めを告げたのは
人の声あるいは床を這う水音だったろうか。



夢の話も聞けぬまま
床にわずかばかりの体温を残して
「オハヨウ」とあなたにメールを打つ。


自由詩 ないしょ話 Copyright LEO 2005-10-20 22:54:18
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