メトロ
相馬四弦

浮浪者がひとり

ホームの支柱に寄り添いながら泣いていた

灯りを落とした回送列車が

静かに通り過ぎていった

駅員がひとり

チリトリを持ったまま

トンネルの奥底を見つめていた

生ぬるい風に乗って

レールの擦れる音がちいさく聞こえた


自由詩 メトロ Copyright 相馬四弦 2005-10-19 22:13:45
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