松本 涼


雨上がりの朝の三田口広場でタバコを吸いながら
羽を膨らませて丸々と太った鳩たちを眺めていた


まるで歩きたての幼子のような足取りで
それぞれがそれぞれの方向へと急いでいる



僕は声を手繰るように
鳩たちの意識に耳を傾けた


けれどやはり鳩たちは何も語るはずもなく
荒んだ色の地面の上を行ったり来たりしているだけだった



むっくりとしたその羽の中で一体何が
起きているのだろう



湿気に満ちた時間の上で
僕は重たく膨らんだ







 


自由詩Copyright 松本 涼 2005-10-18 22:56:13
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