【短歌祭参加作品】宇宙葬
本木はじめ
いつの日か宇宙の塵となることを夢見るロケット技師と甥っ子
少年は星の名前でしりとりをしている少女は欠伸をしている
フラフープ棄てる少女に土星の輪なくした土星のごときさみしさ
叔父さんの家のリモコン、チャンネルを幾ら変えても宇宙番組
ガリレオの(天動説ね!)地動説。(天動説よ!)・・・。永久に揺るがず
素粒子の意味を調べる少年の背中合わせの少女の寝息
アポロから少女連れ去られて千の昼夜過ぎし日、青年、宇宙へ
スプリング錆びてロボットアームは闇へ永久にさよならしつつ消えゆく
宇宙葬、望む青年椅子の上いつしか少女と出会える日まで
銀河より離れてしまった甥っ子の墓標に酒をまきかける叔父