深海魚になったツバメ
相馬四弦

時代と針金に固められた空から

唄と火薬に燃やされる海へ

魚群 この二文字の内側で

そうか もう僕には翼がない そうか

潮に退屈した鯨が暴れて

街を乗せた船が揺れて

そうして晴れた五月は終ってしまうけど

次に陽を浴びることを赦されるのは誰?

だとしても温もりに腐ってしまう

独りになろう ずっと底まで沈んでしまおう

あんな光の塊に

釣り上げられてしまうくらいなら


自由詩 深海魚になったツバメ Copyright 相馬四弦 2005-10-16 04:07:07
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