僕の愛する老犬へ
Dann・v・Seagal

さびしげなお前の目は
いつも虚空をのぞきこむ

なにかから逃げようと眠るお前は
夢の中だけ束縛から解放される

流れ込む食事と不健康な環境

唐突にいなくなる僕に
お前は何を期待する?

病魔に囲まれながら
お前が死ぬという
ことを想像して
流れるこの涙、偽りの涙なのだろうか?

お前に心はあるのだろうか
あれば僕は悲しい
なければ 許されると思う
いやしい僕がなさけない

お前に確実に近づく死
共に生きた時間が
くるおしい

ある日お前に僕の腕を差し出し
お前に強くかまれることで
自分の罪を軽くしようとした
だが お前は
やさしく僕の小指をなめるだけだった

お前に言葉は通じないけど
感情だけは通じるだろう

本当はお前に許して欲しいんじゃなくて
お前を救いたいんだ


自由詩 僕の愛する老犬へ Copyright Dann・v・Seagal 2005-10-14 04:38:30
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