最果て
tondemon
どろどろになった夜が
行き詰まる
収束された光が逃げ場を探しながら
飲み込まれていく
限りなく肥大した闇が舌を延ばして
ひとつ
ずつ
街灯を吹き消していく
誰もいない列車に揺られながら
行き先もわからない大きな箱に揺られながら
ただ
ガタゴトと響く
確かな音だけが
私をこの世界に繋ぎ止める
唯一の鎖である気がして
しっかりと
鍵を閉める
くらがりの世界は
海の底のように
たくさんの死と生で
行き詰まる
寝ているのか
死んでいるのか
誰にもわからない
ようやく駅が見えてきた
限りない罪が
今日もまた
許された
膨らみすぎた夜が破裂して
もう動かないものたち
が
舞い降りて
積み重ねた光の
影
暗く澄んだ空を
少しずつ
かつ
確かに染めて
世界はこんなに明らかで
どこにももう秘密は無くて
列車は止まる
この旅は
改札を過ぎるまでの夢
ここは終点
あるいは最果て