空想するきりん
なつ

それは
優しいあいさつだから
きっと、優しい手紙

まっしろな封筒には
ほんわりと香りのこして
優しい君からの言葉
ほかのどこでもない宛先
おげんきですか、
なんて素敵な手紙

そのやさしさを
首を長くして待っていたよ

だから僕は
大草原がたそがれるころ
ポストの前に
優しくたたずんでいるんだ
やわらかな手のひらと
やわらかな指先で
優しい重みを
そっと取り出して
慌てずに 
読み出したい
のに
あ、あ、
不器用なひづめが
ふるえて
端っこの言葉をこぼしてしまう
いくつもが
陽だまりでぬれて
ぐしょぐしょに
駄目なのに
それは
優しい手紙だったのに
僕の、せいで


大切な手紙ほど
ありのままに読むことの難しさを 想う


背の高いポストを
夕焼けだけが
満たしてゆく
まだ聞こえない配達の おと


自由詩 空想するきりん Copyright なつ 2005-10-09 22:42:18
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