仰ぐ亡骸
こしごえ

アスファルトの上に落ちていた
虫の亡骸を
土の上へと
いつかその身を
風にゆらす花へと
帰すまで
この身のゆらぎを
諦めに似た憂うつで
うつつにゆらします

回転する
展開の意識を
地上波に乗せて
好転するのを
期待するのではなく
好転させる
磁力を保有するのです

一生涯
午後からの雨の
仄暗い幽愁に
虚ろに没頭し
淡い影に
記憶を募らせ
雫を集めて
前夜祭の準備にとりかかります

星はどこへゆくのでしょうか
さて
わたしはどこへ
すらっとぼけないでこたえて下さい
近くて遠い失落園

アスファルトの上に落ちていた
虫の亡骸を
知りませんか




自由詩 仰ぐ亡骸 Copyright こしごえ 2005-10-09 08:56:59
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