降り来る言葉 Ⅱ
木立 悟


まなじりにひらく羽
空の水をとおる
半透明の光を見つめる
はばたきのなか まばたきのなか
ひとえ ふたえ
瞳は空と話しはじめる


白い終わりの木々に囲まれ
道の無い墓地へと至る道
聖母子の上に散る桜
たくさんの声のなかでひとり
ねがいをねがいつづけても
飛び去るもののための花は
飛び去ってゆく


中心からの距離を競って
端々が争っている
応えるものはなく
笑むものの群れが
ひとりひとり分かれ
となりあった別の道を歩んでゆく


とめられないもの
生まれつづける魂
手のひらのなかの
言葉の空をたゆとう


かがやくものに
さらにかがやくものに
光の行方をたずね歩く
行方の意味を知るためではなく
行方の生まれたわけをもとめて
かがやきのないまぶしさと
まぶしさのないかがやきの間に立ち
飛び去る花に
降り来るものに手をのばす





自由詩 降り来る言葉 Ⅱ Copyright 木立 悟 2004-01-04 06:55:51
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