回顧
炭本 樹宏

 叫び声をあげていた
 寂しくて情けなくて無力で
 
 臆病だった
 ただ流される恐怖のなかで
 自分の存在を確めたかった

 認めることから始めた
 自分の殻を破るために
 もがき苦しんだ

 無意味な時間が
 僕の胸元をえぐった

 朝焼けの眩しさが
 恐ろしかった

 絶望の詩ばかり書いていた
 空回りし続けていた

 それでも
 大声で共感する詩を歌い続けて
 少しづつ殻は破れていった

 そして 魂の叫びは僕の存在を
 わずかだけど 確かなものにしていった

 だけど
 多くの人を汚してしまった
 僕はその過ちを償わなければならない
 
 凡人でいい 
 凡人でいい
 
 ささやかな幸せをつかめれば
 それでいい



 



自由詩 回顧 Copyright 炭本 樹宏 2005-09-30 06:14:52
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