震える手
LEO

その大きな手は
いつもどこかにあって
5才の目には映らない

小さな手で
探し当てたのはシャツの端っこ
まよい子が迷子にならないように

届くはずがないと
街の底から見上げれば
とてもきれいな青い空
気がつけば
まよい子は迷子になった

前だけを
見つめ続ける5才の目
泣いてはいけない
泣かないように前だけを

頭をこつん、どこからか
大きな手は伸びてきたのに
5才の目には映らない

迷子から、まよい子に戻って
再び、小さな手はシャツを掴む


大きな手は
いつもどこかにあって
どこにあるのかわからずに
まよい子は人ごみが苦手
エスカレーターが苦手
街の底から見上げる空が苦手



5才の目は大人なって
今では、誰かの手を
探し当てることが出来るけど

まよい子のままの手が
小さく小さく震えます





自由詩 震える手 Copyright LEO 2005-09-27 21:02:11
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『思い出』