ふるえ Ⅰ
木立 悟





夜の柱に伝わるもの
にじみたなびく煙の端々
昼の友の鼓動
原を走る火の行方
冬のはじまりを映して川は流れる
遠く静かな道のりをゆく


幻日の虹のまわりから
雨はまるく降りそそぐ
止んでは降り
止んでは降り
午後の匂いをまきちらす
家と家の間の土に
わずかに乾いた灰色に


風は高く
雲は消える
空は速く
地は残される
夜の水に
赤い枯葉が重なり
新しい傷のように浮かんでいる


道は原のなかに消える
草に埋もれた鉄塔から 丘から
細い風が幾すじも降りてくる
億の緑がひるがえり
かいま見える月に言葉を返す
光のふるえの答を返す








自由詩 ふるえ Ⅰ Copyright 木立 悟 2005-09-27 20:42:50
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