さよならリベラルファンタジー
黒川排除 (oldsoup)

そのバルコニー
 別れを告げたおんなが
 踊る場所

空に人にさしても青い傘でまたひとり

幼児と老人 網を喰い破り交わらんとす

故郷は   遠く
ギクリギクリと崩
        れてゆけば

晴れの日のねっとりとした青絵の具

仮定した夜に消えていく探偵

想起せよ わが
    だれ
  なにか  呼吸
くるしい

結託の痣
打てば響く罪人の声

フックに吊ってあるかもしれぬから警戒せよ
では左へ

孤光にほろびとルビを振りひとくくりのさびしさ

四季がしきしき
泣いたりきしきし軋んだり

黒人間白人間
足して割って灰 焼いて灰

寸分の狂いなく余は存分に狂い

しべのない花一本の葬儀かな

透明を乱獲せし箱のふくらみ

乱読節来たるに苦悩の段を踏む

いえうらでこっそり瞳孔を開く

死ぬと言ったからには死ねよと言いに来た

昼には乾く靴下を取りに来たサンタの赤さ

遠い昔の話をした後
遠い昔に足が向く爺

没落君主の名をそらんじて
空を跳ぶ 三畳百間の空

全員で目隠しをするスイカ割り

崖を指す少年、彼には足がない

至る所に弓の名手の放った矢があり葱畑

味も匂いも、鉄にそっくりだ!
さっそくうめよう

長者長く
なり ひそめ ふる 雨の長い

黒いうさぎをコンセントに見立てて差し込む

助からぬ者からふてぶてしくなる甲板

眉間に雪降る不可解の雪

黒という漢字れんがを八個九個と増やしおり

アオミドれる信号
機を逃して 赤色偏光夕の色

アスファルトガーデン 草木も虫も人間も

転がり    を その位置から眺める格助詞
  落ちて
    行くの

とりわけ死ねばよろしいナイフでとりわけ悲しい

────────────内臓
浮遊草ほおばり持ち上がる

さるぐつ履いてランラン
わ たし はひ とり

夢遊病患者の席が
あるくるま

冥王星を振り上げたままの電柱電線

はっけよいの他はなんともよろしくなし


川柳 さよならリベラルファンタジー Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2005-09-27 02:09:08
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