現代詩フォーラム短歌部第二回いちごつみ歌会
ピッピ

一瞬の美を知っちゃった君のする投資信託投資信託 関根悠介

☆未確認飛行物体一瞬の出来事でしたさよならでした(一瞬の) こもん

空に脚、描いて飛行す屋上で雀のなぞるわれの足跡(飛行) 守り手

抜け落ちた白い歯って何処にゆくんだろう放った空の青になじめず(空) 汐見ハル

かなしみは青でふしぎのいろは黒 夜中にのびる白いクレヨン(青) ピッピ

透徹すべき空は色色クレヨン画幼児が落書きすべき瞳(クレヨン) 関根悠介

落書きにきみの名前をそえし日は夕立のあと走って帰る こもん

ないものに名前をつけて遊ぶ午後ふいに心のひどく冷めたり(名前) 守り手

「まし、まほし」ないものねだりの手のかたちだけがたしかな我は輪郭(ない) 汐見ハル

かたちあるものならすべて手に入れることができると泣いたはつこい(かたち) ピッピ

保育園お昼寝時間舌伸ばしはつこいと浮かれ五歳児の秘儀(はつこい) 関根悠介

血で飛ぶと妹がいう秘儀のこと教科書とかは教えてくれない(秘儀) こもん

教科書の隅で遊べや棒人間余命短し新学期かな(教科書) 守り手

桜貝毀(こぼ)つ指さき震わせてひたり余命を攫う泡波(余命) 汐見ハル

この指は千切れてもいい 12時をまわる渋谷の駅の星空(指) ピッピ

星空をてこの原理で動かして白いペンキを複雑にする(星空) りっと

ベンキ娘ペンキ塗れぐちょぐちょ「れれれ」と呟く肢体醒めたり(ペンキ) 関根悠介

真夜中の便器のうえで唱えしはきみに不幸を届けし呪文(便器) こもん

我にとり呪文は詠唱のみならずヘッドフォンで鳴るビッグマフ(呪文) 守り手

ヘッドフォンに震う今亡き恒星の瞬きめいた音をみていた(ヘッドフォン) 汐見ハル

雨あがりかがやいている恒星のロイヤルホストの前の白バイ(恒星) ピッピ

白バイをサンダル履きで追っかけて9月6日の墓参りです(白バイ) りっと(里都 潤弥)

夕暮の銭湯の上の煙突に腰掛けてゐるサンダル揺れる(サンダル) 山田せばすちゃん

濃い口の醤油をどんどん注ぎ込み銭湯の湯がダシ風呂と化す(銭湯) 清水一希

美意識にくわえる指とその祖母の石をくわえる花、言葉は「口」(口) 関根悠介

だれひとり目覚めなかったそのときに石がやさしくぼくを迎えて(石) こもん

キャンバスにやさしく立てた姉の爪ただ吾だけが美だと言い張る(やさしく) 守り手

美しい爪をはがしてならべたらうつくしい心もはがれてゆきます(爪) 汐見ハル

あたたかい心臓である この河の下流をいまだ見たことがない(心) ピッピ

缶ビール歯型をつけて啜り飲む過去の下流の家夢見つつ(下流) りっと(里都 潤弥)

毛の禿げた痩せこけたりし野良犬に缶ビールなど投げつけてみたし(缶ビール) 山田せばすちゃん

野良犬は今日も野を越え山越えてたどり着くのかガンダーラの地(野良犬) 清水一希

たどり着く 春山越えて 海逃し 里のひとには 想い人あり(たどり着く) 山内緋呂子

(☆印は参加者互選による秀歌)


短歌 現代詩フォーラム短歌部第二回いちごつみ歌会 Copyright ピッピ 2005-09-27 01:01:00
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