冬の思い出
天使


帰り道の交差点 信号で立ち止まっていた僕

後ろには寒そうにしてた 君がいた

その姿に僕は 「大丈夫?」と声をかけた

君の手はさぶくて 少し震えていた

その手を僕は つかんで自分のコートのポケットへ

君はすごくおどろいたけど

あったかそうに微笑んで・・・・

僕の心は はじけそうにドクドクと音を鳴らす

静かな帰り道のその出来事が

君との思い出の一歩。

それからずっと 冬の寒さをいいわけにして

僕等は二人 一緒に帰っていたけれど・・・・

冬も過ぎて やがて春になった

外はあたたかくなり

ポケットの中は寂しくなり

このまま二人 離れてしまうのかと 不安になっていく僕

いっそ離れてしまうなら この気持ちを君に伝えたい



君の事だけを思いながら走ってる僕

あの日であった交差点の信号

道のむこうで君の後ろ姿がある

それなのに 信号は赤いランプをつける

信号が青になると 僕は必死に走った

君にこの気持ちを伝えたい・・・・・いますぐに・・・・

たくさんの人ごみの中、君だけを探し続ける




振り向いたその先に君がいた

だけど僕は 君のところには行かなかった

君の隣りには もう誰かがいたから・・・

君への想いは伝えられずに

僕は帰った




本当は伝えたかった 「君が好き」だと・・・・

その一言さえも言えずに・・・・

春が来た



僕は君に何も伝えずに 何も進まないまま

冬の思い出を閉じた


自由詩 冬の思い出 Copyright 天使 2005-09-25 20:48:37
notebook Home 戻る