落下傘
霜天

少しだけ、冷たい風が吹いてきたのは
とても遠い場所からだった
人はいなくなる、ということが出来るらしい
世界はいつも通りに明るくて
僕らは同じように電車に乗り込む

乗り継ぎ駅で世界が追い付くのを待つ
ここは朝だ、きっと
少しずつ風が冷たくなっていく
人はいなくなる、ということが出来るらしく、て
滑り込んできた世界に、僕らは乗り込む


夜の上に
ゆっくりと朝が落下していく
ここは確かに、今日だ
握り締めた手も
握り返された手も


加速した景色が
だんだんと落ち着いていく
いつもの駅でドアが開くのを
斜めから、見ている
人は遠くへ行くことが出来るらしいので


自由詩 落下傘 Copyright 霜天 2005-09-23 00:22:30
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