ぞっとしたね
辻野克己

「ぞっとしたよ」と男が言うから
 私は
 遅れないように
「ぞっとしたね」と言った
 それから
「ぞっとした」と子供が言うから
 私は
 心配させないように
「ぞっとしたね」と肩を抱いた
 それから
 四人は
 あの光を崖から眺め続けている


自由詩 ぞっとしたね Copyright 辻野克己 2005-09-20 17:53:54
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