棲家と糧
しらいし いちみ 

此処は地上∞階建ての超高層ビルディング
棲家はそのおよそ0階です

何時も見上げて生活してて
糧を見つけてお腹を満たし
狭いベッドで眠りこむ毎日です

そんな日常をちょっとお披露目したくなりました

隣のお部屋は
 綺麗な色の詩を綾織る素敵なお姉さんのお住い

すぐ上の階は
 掘り下げる心の内側を深くスカッと斬るお兄さんのお住い

その隣のお部屋は
 甘いチョコレートを流したような
  優しい詩を綴る妹みたいな娘のお住い

そのお向かいは
 道を探して歩き続ける詩人さんが
  たまに立ち寄る隠れ家的なお住い

もっと上の階は
 もう手が届かないほどの達人のお住い

残りのお部屋は
 まだお会いした事の無い方々が居られるお住い

雲の彼方の屋上はこんもり森に囲まれた
海の匂いのするプールもあり
時々ここで泳いで見たりもします

お部屋へ帰りたくなったら
鳥のように飛んでみたりもします
羽根も無いわけですが 上手いこと
雲は体を弾ませてお部屋へ返してくれます

そんなこんなで
 住人さんたちの優しさに包まれて
  毎日、飽きもせず 歩き回る回廊で
     お腹を満たし ベッドに潜りこみ 眠ります
           
今日も照らす光が愛しく 刹那に思う
       ぽっとりと 月夜の晩です


散文(批評随筆小説等) 棲家と糧 Copyright しらいし いちみ  2005-09-19 21:09:46
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