湯冷め浴
kw

浴槽に
すだちを浮かべ
涙を肩位置に溜めて
点火
点灯せず
湯冷め浴

果汁の混濁
吐息の白靄
曇りゆく記憶

湯上り
底へ伸ばす腕
栓を引いたなら
渦描いて消えゆく
悲しみ

排水溝の蓋へ
涙形の種が残り
切なさの記念と
口に含む
酸味切れるまで
零れ落ちる涙


自由詩 湯冷め浴 Copyright kw 2005-09-15 13:50:22
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