代償
浅野 すみれ

歌えなくなってしまったの。
声が届かないの。

あの看板を見ると泣いてしまうんです。
おじいちゃんと昔よく食べにいった、牛丼屋の看板。

掻き毟った場所には
泡立った石鹸水が気持ちいいんです。

掃除機をかけても、かけても、
痒くてしょうがないから、諦めてる。
そんな中で暮らす毎日。

…スカートがはけません。


自由詩 代償 Copyright 浅野 すみれ 2005-09-13 00:02:23
notebook Home 戻る