午後三時の少年
相馬四弦
空にうかぶ声を追いかけていた
道はきれいな家やお店を抜けて
街路樹はどれも枝葉を停めて
バスの車窓に老婆の抜け殻を見た
石筆を握って走りながら
屋敷の塀に直線を引いてゆく
砂の流れる用水路を右へ左へ飛び越して
そして道はどんどんと細くなってゆき
やがて誰もいない ただの広場にたどり着く
息を引く父親のように脆く哀れな風が
そっとくるぶしを撫でて そのまま
少年は立ち尽くした
自由詩
午後三時の少年
Copyright
相馬四弦
2005-09-04 06:15:44