*マジックアイランド*
かおる
夢のお国に咲く花は
やはりどこか摩訶不思議
朝には向日葵色にきいろくそよぎ
夕べには静かに紅く散っていく
まるで黄昏時に恋したように
魔法の杖は降りおろされる
ティアレの花の甘い芳香はきっと
一種の魔法の呪文のようで
全てを夢と幻の中に収めていく
地上最後の楽園と言われる一年中 常夏のその島では
判で押したように6 時過ぎに
お寝坊なお日様は
クルスタルクリアな海から
顔を覗かせる 雨の帳が降りている朝は
全てに紗がかかったように鈍色で
その重たげな海の色も 触ると鉛になりそうな予感
しらっといつの間にか中天に居座っている
やっぱり蒼白く発光しているお日様が
コーラルブルーやエメラルドグリーンの
きっぱりとしたしましまな海を造り出し
あたし いつもの時間に出勤してきたからねぇと
きかん気なおババな顔もちらっと見せつける
700万年前に起きた噴火で浮かび上がった島
切り立った岩肌も露に
でこぼこの緑の山並みそのもので
そのまわりを環礁で閉ざされた
ラグーンが縁取る
燦々と煌めく陽射しに負けぬ
ド派手でカルフルなおさかなは
きらびやかに着飾っていて
なんびとの目も虜にしてしまうでしょう
どこまでも底抜けの蒼い海にぽっかり浮かぶ緑の島
環礁でくだける波の間から
雲も時々生まれてくる
なんだかバカみたいに透明度の高い真っ青な海
この美しくも完璧なラグーンは
パラダイスに片足を突っ込んでいて
冬というには暖かすぎる気温と
乾季の風が心地よく
さらさらの真っ白な
パウダーのような砂浜を渡り
ヤシの木を揺らす
底抜けに明るい陽気な蒼を見ているうちに
いつの間にか
一瞬 時の流れも止めてしまう
圧倒的な夕焼けが始まります
雲を白く発光させて海を黄金色に変え
海と空をコーヒー色にブレンドして
静かに夜の幕が切って落とされる
朝寝坊なお日様は
きっかり12時間の勤務時間を守って
夕方6時にはおやすみの体制に
海に沈んでいくのを見過ごして
茜雲を見ているうちに いつのまにか
半月がニッカリ 微笑んでおりました
煌煌とした月明かりに負けずに
満天の星も降ってくるようで
なにがなにやら 星の並びもいつもと違って
ところで あれが南十字星だろうか
一等星だけのスカスカのそらと違い
賑やかな星の瞬きに惑わされて えぇ
この島は緑と蒼の真珠のような地球の雫そのもの