九月の海賊
大覚アキラ

闇をひと掴みポケットに突っ込んで、
土砂降りの雨の中をまるで海賊のように歩く。

薄汚れた日焼けの痕。
擦り減ったビーチサンダル。

おまえが好きな八月は過ぎ、
鼻唄まじりの季節は幕を下ろしたようだ。

諦めとやりきれなさを掌の上で玩びながら、
おまえと二人で巡礼の旅にでも出ようか。

この雨が止んだら、
夜明け前の街を逃げるように旅立つのさ。

さあ、錨を上げろ!
帆を立てるんだ!

水たまりの残るアスファルトの上を、
小麦色の風切りながら見事なスピードで。

さらば、八月よ。
さらば、夏よ。







自由詩 九月の海賊 Copyright 大覚アキラ 2005-08-31 22:34:54
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