夜を抱きしめる
なつ

羽音だと思ってたら
薄布のカーテンをふるわせて
飛びたいよう、と
窓が
泣いていた

わたしがあんまり
窓の目で
空を見るから

ガラスの表情は
いつのまにか、曇って
月の形に腫れた傷を
隠すように
うつむいている


願いを抱いた瞬間
みんな生き物なんだね

染みがついた
夏のカーテンは
わたしの枕と
同じにおいがした


ねえ、
泣きつかれたら
今夜は
ふたりぶんの星屑を探そうか

枠に寄りそって
そっと、撫でたら
窓は
すこしだけ微笑った気がした


自由詩 夜を抱きしめる Copyright なつ 2005-08-22 22:19:37
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