イエスタデイに歌われて
虹村 凌

埃だらけの夜道に座り込んで
煙草の先に火を点けました
吐きだした煙も
イエスタデイを戻してくれない
煙草を放り投げて
行く道を決めようと思います
煙草は
くるり くるりと周り
赫い火と僕の目が合ったのです
缶コーヒーを買う事にしました
煙草はまだ余っています

***



暑さのあまりに 夢から覚めた
からり からり
風鈴が鳴る
ひらり ひらり
指先に舞う 濡れた君の乱れ髪
錆び始めたは 遠い昔の記憶紅葉
ゆるり ゆるり
気怠さに問う
ぬるり ぬるり
舌が垂れる
するり するり
君は逃れる
こぽり こぽり
血を吐いたんだ



***

イエスタデイを歌った
イエスタデイを歌った
イエスタデイを歌った
誰も聞いちゃいなかった
みんながイエスタデイを歌っていたから
誰も聞いちゃいなかった
みんなが聞いて欲しいから
誰も聞いちゃいなかった
煙草に火を点ける
煙を吸い込む
煙を吐き出す
イエスタデイを気にしなくなった
いや
元からイエスタデイなんて気にしてなかった
イエスタデイを歌ってから気づいた
グッドバイ イエスタデイ
シーユー イエスタデイ



自由詩 イエスタデイに歌われて Copyright 虹村 凌 2005-08-22 15:47:50
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「うにいくら丼」