失恋
こしごえ
サフラン色の吐息をつめた
紙風船に
虚空の稚児は
灰色の笑みを浮かべている
道なりに歩いていると
小さな星がすすり泣いていたので
モザイク柄の
傘をさしてあげた
陰った景色は
それでも濡れていたので
髪は艶々と沈み
夢を思い出す
あれは恋だったか
空の淵でゆれる 私
小さな星は沈黙した
どこからか
風鈴の
音が聞えてきて
胸に開いた穴に
ひとつの風が通り抜けていった
ひとは静かに息を吸い込み吐き出した
昼も夜もない
悲しみの
小指の赤い糸は
にじんだ視線に絡まったまま
さよなら
「サフラン色」
ここでは、花の色の淡紫色のこととする。