ガムテ
うめバア

頑丈なこころを
作っとこ

あの子から、待ちかねた連絡が来て
あんまりにも待ちかねていたもんだから
つい、嬉しそうな声、出した途端に
「ごめん忘れてた、やっぱダメだ」

それが、金曜の夜で
つまり
週末の、楽しみな時間で
ポカリと空いた穴ん中
「忘れてた、ダメだ」が
どかどかと入り込んで
ずっと、どかないなんて
そういうの
もう、ナシにしたいから

だから
スキがなく、破れない
丈夫なこころを
作っとこ

金曜の夜を楽しみにするような
そういう、軟弱な
世間知らず、やめてしまって

誰が、どの遠くへ行っても
寂しいなんて思わずに
ねえ、ひどいじゃん、なんて
相手を責めたりせずに

今は
ガムテでいいから
ガッチリ補強だ

涙とか、寂しさとか、ため息とか
うっかりもれたら、重大事故に
つながりかねないよ

会ってくれないなんて思わずにいれば
会いたいと思わせることに成功するはず
なーんていう、
浅ましい悪知恵も封印

待ちわびない
頼らない
自分ひとり
しっかりと

嫌われたくないとか
友達が欲しいとか
恋人がいなくちゃだめとか
一切、禁止

ふらふらする気持ち
必死に押さえて歩いてると
誰かがアタッシュケース
ガツンとぶつけたりする
そんな突然の暴力に
泣きたくなったりしない
死にたくなったりしない
殺したくなったりも
しない。

自信に溢れて
愚鈍に生きよう

傷ついたから
傷つけ返そうとする
そういう醜悪も、もう、よす

他人の痛みなんてわからない
自分の痛みもわからない

だって、痛くないもん

そういう、
頑丈なこころ

詩みたいなものなんか
書かずに

作っとこ。





自由詩 ガムテ Copyright うめバア 2005-08-20 00:30:09
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