夏わずらい
ソマリ

口紅がはがれた後のりんご飴 確信犯のうつくしいきみ


こんなにも渇いていたと知らされる 始めのひとくち貪る夕べ


日に焼かれ濃縮された僕達を還元しては味見する海


やわらかく砂を蹴散らすつま先の行儀の悪さに見惚れてしまう


真っ白な立ち眩みにも似たひかり 何も見えずに溺れてもいい


夏の陽に火照った傷を眠らせる つめたい指で目蓋を撫ぜて


踝にひっかけたままの夏の恋 飾りのように揺らして笑う




短歌 夏わずらい Copyright ソマリ 2005-08-19 21:35:41
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